夏は来ぬ 佐佐木信綱 作詞 小山作之助 作曲 一 うの花のにおう垣根に、時鳥(ほととぎす)     早もきなきて、忍び音(しのびね)もらす 夏は来ぬ。 二 さみだれのそそぐ山田に、早乙女(さおとめ)が     裳裾(もすそ)ぬらして、玉苗(たまなえ)ううる 夏は来ぬ。 三 橘のかおるのきばの窓近く     蛍とびかい、おこたり諌むる 夏は来ぬ。 四 おうちちる川べの宿の門遠く、     水鶏(くいな)声して、夕月(ゆうづき)すずし 夏は来ぬ。 五 さつきやみ、蛍とびかい、水鶏(くいな)なき、     卯(う)の花さきて、早苗(さなえ)うえわたす 夏は来ぬ。 新編教育唱歌集(五)明治29.5 三 「早乙女」は原作で「賎(しず)の女(め)」とあり。 五 「さつきやみ」を、「夏は来ぬ」ともあり。 (作詞者) 注 漢字で蛍と水鶏は新字に、おうち(原作では漢字 木扁に東に似た字)はひらがなにしています。