zRig for FTDX

zLogのRigコントロール機能をFTDX5000で使うために

JL1LNC納村恵信
2nd, Apr. 2014
有志によりリリースされている新zLogで対応したFT-2000を選択すれば、FTDX5000でもリグコントロールが動くようです (2020オールJAで動作確認しました)。
そちらもぜひお試しください。
Releases ・ jr8ppg/zLog ・ GitHub

はじめに

最近のヤエスの無線機(FT-2000以降)はCATコマンド体系がそれまでのものから変更されていて、当局が使用している国産のコンテスト用ログソフトのzLog for Windowsではリグコントロール機能が使用出来ませんでした。 今回、他機種向けのコマンドを変換したうえで無線機に渡すようなユーティリティプログラムを作成しましたので紹介します。 無線機はFTDX5000MP、ログソフトはzLog for WindowsおよびLogger32にて動作確認しています。

しくみ

通常、ログソフトはPCのCOMポートに接続して無線機にコマンドを送っています。
これを、com0comという仮想COMポートに接続するようにします。 com0comは、仮想COMポートを2つ持っていて、ログソフトに接続した仮想COMポートに送られたコマンドをそのままもう一方の仮想COMポートに出力します。 今回作成したユーティリティプログラムでこの仮想COMポートからのコマンドを読み取り、無線機の解するコマンドに変換したうえで実際の無線機に接続しているCOMポートに出力します。

しくみ

CATコマンド

古いヤエスのコマンドはバイナリーの5バイトですが新ヤエスは任意長のテキストで、コマンド体系はケンウッドのものに似ています。 ただし相違点は多々あり、例えば周波数の指定はTS-2000は11桁(Hz単位で10GHzの桁まで)、DX5000は8桁(10MHzの桁まで、ハムバンドだと50MHzまで)、等々。 とはいえ、共通しているところもけっこうあるため、今回はケンウッドTS-2000のコマンドをFTDX5000向けに変換することにしました。

com0com

仮想COMポートのユーティリティです。 他にもVirtual Serial Ports Emulatorというのがありますが、対応OS(Windowsのバージョン)によってはシェアウエア版になるようでしたので試していません。 com0comのインストールは、下記ページが参考になりました。

NonSoft - com0comのインストールと設定方法(Windows7)

Windows7では署名無しドライバをインストールしたり使用するときにテストモードにしなくてはならないらしく、上記Webの通りにコマンド実行しました。 実は初めはうまく設定出来ませんでした(「ブート構成のデータ ストアを開けませんでした」と言われる)。 コマンドプロンプトをスタートメニューから実行するときに右クリックで管理者として実行としたら「この操作を正しく終了しました」のメッセージ。 そして、ウインドウズを再起動。 デスクトップ右下にテストモードと出るのを確認して、com0comをインストール。 何か警告出ても「インストール」、・・・・・というのを3回ほど。
そんなこんなしているうちに、デバイスマネージャーでCOMポートが追加されるのが確認出来ました。

デバイスマネージャー

Microsoft .NET Framework

今回のソフトウエアははVisual Basic 2010で書きましたので、実行するには.NET Framework 4.0以上が必要です。Microsoft Updateからインストール出来ます。

zRig for FTDX

新しい無線機でどうしてもzLogを使いたくて作ったのでシャレで似たなまえにしましたが、zLog開発者の方々とはまったく関係ありません(^_^;)。
下記に置きましたので、ダウンロード、解凍してお使いください。インストールはありませんので、解凍した.exeファイルを都合のいいフォルダに置き、実行してください。

使い方

下記のポート番号は当局での場合です。実際のポート番号は先に紹介した通りデバイスマネージャーの画面で確認出来ます。

zRig for FTDX
  • PCのロギングソフト(zLog、Logger32等)では無線機にTS-2000を指定し、COM6でRigに接続するよう設定する。
  • zRigでは、ロギングソフトからのデータを受け取るポートとしてCOM7を指定する(PCの欄でCOM7をクリック)。
  • 実際のポートで無線機(FTDX5000)を接続するCOM5を指定する(Rig欄でCOM5をクリック)。

以上で無線機(FTDX5000)とログソフト(zLog)が接続されます。

便利な機能

せっかく無線機とのコマンドのやり取りが出来るようになりましたので、さらに機能を付け加えました

  • 周波数表示をダブルクリックで周波数の直接入力(kHz単位)。
  • 周波数表示を右クリックでメモリー操作等。
  • メモリーリストから選択、ダブルクリックでクイックQSY。

おわりに

どうにかこうにか新しい無線機を古いログソフトで使えるようになりました。すでに半年以上も試験運用していますので、当局の環境に限っていえばかなり安定して動作しています。DOS版から使い始めたzLogですが、もうしばらくは付き合ってもらえそうです。